2011年7月5日火曜日

レディー・ガガ“入門” 自分がやりたい表現貫く強さ 

6月21日から7月1日まで日本に滞在し、東日本大震災の復興支援ライブなどさまざまなパフォーマンスで話題をまいた米女性歌手、レディー・ガガ(25)。その奇抜な外見の裏にはどんな素顔があるのか。ガガにインタビューした経験がある音楽ライター、新谷洋子(ひろこ)さんの話を織り交ぜながら、“レディー・ガガ入門編”をまとめた。(竹中文)

 ♪本名は?

 ステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタ。レディー・ガガの芸名は、英ロックバンド、クイーンのヒット曲「レディオ・ガ・ガ」(1984年)に由来すると本人がインタビューで答えている。

 ♪生い立ちは?

 86年、米ニューヨーク州の裕福な実業家の家に生まれた。2003年にニューヨーク大芸術学部に早期入学したが、その後、退学。ストリップ・クラブのダンサーとして生計を立てながら、自ら音楽業界に売り込みをかけ、ようやく理解してくれるレコード会社を見つけた。「09年のインタビューでガガは『大学を辞め、家を出て、一人で道を切り開いていこうと決心したときが自分の転機だった』と語っていた」と新谷さん。

 ♪人気度は?

 米で08年、日本では09年にアルバム「ザ・フェイム」(ユニバーサルミュージック)でデビューし、世界6カ国のランキングで1位を達成。今年5月にリリースした3枚目のアルバム「ボーン・ディス・ウェイ」(同)は、公式サイトによると、日本を含む世界28カ国で初登場1位。今年2月の米グラミー賞では、最優秀女性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞など3部門を獲得した。

 ♪誰から影響?

 ブロンドの髪、奇抜なファッションなどから米歌手、マドンナ(52)の再来-と形容されることが多い。ガガ自身も尊敬するアーティストの一人にマドンナを挙げるが、新谷さんは「マドンナは旬のプロデューサーと組んで変化していったのに対し、ガガはソングライターとしてほとんどの曲を自分で手掛けている点が違う」と指摘。「基本的には古典的なシンガー・ソングライター。歌詞に個人的な思いをつづり、社会問題も積極的に取り上げている」と話す。

 ♪弱者の味方?

 東日本大震災直後に「WE PRAY FOR JAPAN(日本の為に祈りを。)」と記したチャリティー・ブレスレットを販売し、売り上げを寄付した。

 「過去にもマイノリティー(少数派、弱者)を支持する立場を貫いてきたガガらしい、思いやりのある行動だ」と新谷さん。「ボーン・ディス・ウェイ」に収録された「アメリカーノ」は米国の移民問題を歌った曲とされ、過去には同性愛者の権利を守る運動にも参加、HIV感染者支援の立場も表明している。

 新谷さんによると、過去のインタビューでガガは10代でいじめを受けていたことを告白しており、「そのときに味わった疎外感が、弱者支援の下地にあるのでは」と推測。「加えて、デビュー前に苦労して自分の音楽を作ってきた経験があるからマジョリティー(多数派)にこびない。自分がやりたい表現を貫く強さがある」と評する。

 ■復興支援ライブに登場 10分のステージで観客を魅了

 6月25日に千葉・幕張メッセで開かれた東日本大震災復興支援ライブ「MTV VIDEO MUSIC AID JAPAN」で、レディー・ガガは巨大なクモの巣をセットに使ったユニークなステージを見せた。

 最初はクモの巣に絡まる姿で登場。途中で巣を抜け出し、緑のウィッグ(かつら)と腰の巻きスカートを脱ぎ捨て、黒い下着風の制服で踊るなど、約10分のステージで観客を魅了した。

 ステージ後の会見では「自分の髪の毛で作られたクモの巣で動けない状態だったが、情熱により苦境を乗り越えた。この物語は今の日本に当てはまる。皆の情熱があれば、どんな苦境も乗り越えられる」と語った。報道陣から「なぜ日本のためにそこまで?」と問われると「ホワイ・ノット?(当たり前でしょう)」と笑みを浮かべた。

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